専門学校へ進んだ話し

人との出会いが思いもよらない未来へと僕を導く

高校受験
将来の自分の事を考え
自ら進むべき道を決めるもの
普通はそんなふうに考える
しかし私にとって受験は
親が決め私はそれに
従うだけのもの

私の父は小さな会社を経営しており
母は父を支えながら事務を手伝っていた
小さな頃から週6習い事をし
家にいる時は家庭教師が来て勉強
同級生の子達が羨ましかった
”あいつは誘っても遊ばないから”
と言われていた。寂しい気持ちも
無かったと言ったら嘘になるが
誘われた時に断る方が嫌だった
一人っ子の自分はそんな気持ちを
分かり合う相手もいなかったので
孤独を感じていた

私立の小学校、中学校一貫の
学校に通っていた私は進学は
当たり前の選択で良い大学へ
進学することが尊敬される世界
成績も上位でなければ意味がない
そんなことしか言われず
だんだんこんなことに何の
意味があるのだろうと自分に
問いかける事が多くなってきていた

中3の夏
受験に向け家庭教師と塾の毎日
塾への道のりで息抜きができる
場所を見つけた
そこは街路地を少し外れた
小道にひっそりとあった
古本屋である
始めて見つけたのは
塾に行く気が失せ
いつもと違う道を通ってみよう
と思いひとつ奥の道を
歩いていたとき見つけた
いつもなら本屋なんて立ち寄らない
しかも古本なんて興味がなかった
でもその日は何も考えず
いつのまにか中に入っていた

古本屋の主人

古本屋の中は少しひんやりしていた
外は真夏で熱中症予防をなんて
呼び掛けているほどの暑さなのに
なぜか冷房も見当たらないのに
ひんやりしている
神社に入ったときの
感覚に少しにていた
店主は90歳は越えているであろう
おじいちゃんが腰掛け古本を読んでいた
”いらっしゃいお好きに見ていってあげて”
細々とした声で言った
店の中は十畳ぐらいの狭さに
本が棚に詰め込まれていた
店の中をくるくる回り本を
見ていると
”受験生かい?”
そう声をかけてきた
”毎日勉強で疲れてしまうね
君はなにかなりたいものでも”
“いえ、進学をしたいので”
そうこれといってなりたものや
目標はなかった親が決めた
道を進む事だけが許されていたから
”そうか。じゃあ勉強もつまらないし
楽しみもないだろうな”
”そんなことないです!”
強く、大きな声でそう言うと
店を出ていた
本当の事を言われた
自分の中にぐるぐる回って消えない
気持ちを見透かされていた

次の日なぜか古本屋の前に立っていた
何をしていてもおじいちゃんの言った言葉が
頭から離れなかった
”こんにちわ”
そう言いながら店に入ると優しい微笑みで
”いらしゃい、お好きに見ていってあげて”
と昨日の事は気にしていないよう
”昨日はすみませんでした。大きな声を
だして。あんな態度とってしまって”
”何の事だったけな”
ニコニコとしながらそう呟くように言った
心がふわふわした
”自分は何に向かって進んでいるのか
分からなくなって。親の言うように
していれば幸せなんだって自分に
言い聞かせて、何も考えないようにして
勉強だけしてきたんです
でも、、、もう息苦しくて、、、”
胸の中に閉じ込めていた言葉たちが
次から次へと溢れていました
おじいちゃんは何も言わず聞いていて
“僕はどうしたら良いのか
分からなくなって、、、”
”分からなくていいんだよ。答えなんて
誰にもわからないんだから。分かるのは
今君の心に素直になってあげること
心が悲鳴をあげているなら少し
休んでいいんだよ”
静かに呟くように優しくその言葉は
心の暗いところを優しく照らしてた

自分の意思

”進学、専門的な勉強をしたいから
違う学校に行きたいんだ”
親に意見をするのは始めてだった
親も反対を最初していたが
進路決めや意思の固さに
最後は同意してくれた

古本屋は今はさら地になっている
あのときあのおじいちゃんに出会わなければ
親のレールを進んでいた
今自分の足で進む事の
幸せを実感している

toron著

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