塾に行かずに勉強した話し

高3になってからの進路決定。塾に行かずに薬学部合格。

薬剤師という仕事の選択

私は現在、薬剤師という仕事をしている。

最近、とくに女子高生には人気の高い職業になっているようだが、その実、どんな仕事をしているのか、本当に知っている人は少ないと思う。

一般的に薬剤師とは、病院や薬局で「薬を渡してくれる人」と思っている人は多いのではないだろうか。

まあ、細かい仕事の内容はいいとして、薬剤師になるためには、どのような条件が必要なのかを知っている人はどの程度いるのだろう。

 

薬剤師になるには、大学の薬学部を卒業し、国家試験に合格しなければならない。

私の時代は4年制だったが、現在は医学部と同じく6年間薬学部で勉強し、卒業してようやく国家試験の受験資格が与えられる。

それ以外に薬剤師になるための道はないのだ。

おまけに私立の薬学部は他の学部と比べると格段に学費が高い。

さらに大学は、国家試験の合格率を上げるために、ちょっとでもできない学生は留年をさせる。

このため、大学に入ってからの勉強量は半端がない。

 

薬学部がそんなに大変なところであることなど、高校生の頃は思いもせず、私は薬学部を受験した。

これはそんな私の大学受験の時の話だ。

将来の目標

私は昔から、漠然と医療系の職業に就きたいと思っていた。

医療系の仕事と言ったら、医者、看護師、薬剤師などがあるが、当時はまだ女医という存在は珍しく、ましてや医学部に行くような頭はない。

さらに薬剤師はすでに姉が薬学部に行っていたので除外、看護師もあまり興味が持てずにいた。

そんな私は父から「これからは情報社会だから、コンピューター関係の勉強をした方がいい」と勧められていたため、理工系も考えていた。

高校時代はそんな状態で、なかなかはっきりとした進路を決められず、2年が終わり、とりあえず3年では理数系コースを選択した。

 

3年になり、真剣に進路について考えなければならなくなると、将来の職業についても真剣に考えるようになる。

理工系も面白そうではあったが、卒業後は教師くらいしか取れる資格がない。

やはり資格としては薬剤師の資格の方が将来使い道があるのではないだろうか。

そう考えた私は、やはり薬学部へ進む道を選んだ。

塾に通わない受験

ようやく進路を1本に絞り、さて受験勉強をしましょうということになったが、周りを見回してみると、私の周りには大学受験をしようという友人がほとんどいなかった。

当然、自分一人でモチベーションを上げるのは簡単なことではなかった。

ほとんどの友人は就職または専門学校希望だったため、全く勉強をする意思がない。

今であれば塾に通い、同じような受験生の中で刺激を受けるのだろうが、私は塾には通っていなかった。

 

私が塾に通わなかったのにはいくつか理由がある。

まず第一に、私の親が塾に行くことを勧めなかったことだ。

「勉強なんて、本当にできる人は塾に行かなくてもできる」

というのが両親の考え方だった。

実際私の姉は、塾に行くことなく国立大学に合格している。

 

第二に、その当時私が住んでいた地域では、あまりいい塾がなかったということだ。

大学進学率の低い地域では、大学を卒業したような人は、都会で生活をするか、現役の教師くらいだ。

塾といっても、個人経営で実績も分からないような塾しかなかった。

そのため私は塾には行かず、自分一人で受験勉強に取り組むことになった。

勉強が間に合わない!

私立の薬学部の受験は、英語、数学、化学の3科目だ。

ここでまた一つ問題が持ち上がった。

数学と英語は、どの道を選んでも必要だったため、もともとしっかりと勉強していたのだが、問題は化学だった。

2年までは理工系の進路も考えていたため、いざと言う時に間に合うようにと、物理を優先して選択していた。

そのため化学は3年で勉強し始めたのだ。

さらに一番の問題は私の通っていた高校のレベルだった。

大学進学率が30%程度の高校で、学校の授業だけではとてもではないが受験に間に合わないことが分かったのだ。

 

進学校であれば、受験対策などもやってくれるのだろうが、私の高校は受験生よりも公務員になる生徒の対策や就職対策に重点を置いていたため、受験勉強の工夫は自分でする以外なかった。

とりあえず受験に必要な科目の先生と仲良くなり、授業が遅れている部分を補った。

ある時化学の先生に

「お前のレベルに合わせると、他の生徒がみんな赤点になってしまうんだ。すまんな。」

と言われた。

学校も当てにできず、塾も家庭教師もない。

合格のカギは、化学の勉強がどこまで追いつくかにかかっていた。

個人的に化学の先生に質問をしながら勉強を進める日々だった。

いざ本番

塾に通っていれば、講師からのアドバイスもあるだろうが、私にはそんなものは全くなかった。

唯一自分の実力の指標になるのは、模試の成績だけで、その結果から何をすべきなのかも自分で考えるしかなかった。

しかし自分のやり方での受験勉強では、なかなか模試の成績は上がらなかった。

 

刻々と受験本番が近づいてきた。

化学が心配だからと、そればかり勉強するわけにはいかない。

数学と英語も同時に勉強しながら、進まない化学の勉強に焦りを憶えた。

結局「有機化学」の部分に関しては間に合わず、受験本番を迎えることになった。

この分野は必ずと言っていいほど出題されるのだが、勉強が間に合っていない以上諦めるしかなかった。

その分他で点数が取れるようにとラストスパートをかけ本番に挑んだ。

 

結局第1希望の大学は不合格だったが、第2希望の大学には合格した。

本番では、時間切れで間に合わなかった「有機化学」は捨てて、他の部分で得点を稼ぐことに賭けた。

第1希望が不合格だった要因は、やはり間に合わなかった化学が大きく影響してしまった。

塾に行っていたら学校の遅れを取り戻せ、第1希望にも合格していたかもしれないとも思う。

進路を早くに決めて、早くから受験勉強に取り組んでおくべきだったと後悔することもある。

しかし、結局自分で決めた道だ。

後悔しても仕方がない。

とはいえ、第2希望とはいえ入学した大学での生活はそれなりに楽しく、無事4年で卒業し、現役で国家試験にも合格。

「終わりよければすべて良し」というのはこの事だと思う。

opeku著

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