警察官の採用試験の話し

【予備校】警察官を目指した日々

フリーター

4年生大学を卒業後にフリーターの道を歩んだ私。

就職氷河期と言われた時代に就職活動に失敗。

自分のやりたいことが見つけられなかった。実際は、将来に対して真剣になっていなかったのが原因だと思う。

友達が徐々に就職が成功しているなか、「フリーターでも食っていけるでしょ」と安易に考えて問題を先送りにしていたからだ。

自分で何かを決めてきた人生ではなく、いつも他力本願で生きてきた。

自分の主張というものが全くない学生だったのだ。

 

予備校

その当時、アルバイト先の従業員の二人(AとB)も、就活を失敗していた。

このままでいいのかと3人で漠然と話していたときに、Aが「警察官になるために予備校へ通う」と言い出した。特にやりたいことがなかったので、渡りに船で私とBは、Aと同じ予備校へ通うことに決める。

学費を払える貯金もなかったので、親に頼み込んで予備代を捻出。

もともと親が公務員関係だったので、反対はされなかった。

 

1日8時間

予備校では先生から直接講義を受けるのではなく、講義を収めたDVDを教室内の好きな席で見るという方式。自分のペースで講義を受けられるというのが売りだ。

幾つかのDVDを借りて、モニターと睨めっこをしながらペンやマーカーを走らす毎日。

学生時代から勉強の『べ』の字もしていなかったので、地方公務員の教養問題は意味不明。モニター先に映る先生の、呪文のように唱える講義に必死に食らいついて4割理解できる程度であった。

あらかたのDVDを見終えたら、広辞苑ぐらいの厚みの過去問へ挑戦。

机に向かい続けること8時間以上。それでも時間が足りないぐらいであった。

 

一次試験

開催場所は某大学。

3人とも教室が違うので「頑張ろう!」と励まし合い別れた。

試験の内容は筆記と論文。試験開始まで緊張のあまり、トイレと教室を何度往復しただろうか。

いざ試験開始。

一斉に問題用紙を捲り、鉛筆で書く音が聞こえる中、微動だにしない私。

一問目からわからない。絶望を感じながらも、わかる問題から解いていくように進めた。

もっとも苦戦したのが論文であった。教養試験の勉強はしてきたが、論文対策は全くしてこなかったのである。

思うがままに字数を増やしていくものの、書きたい漢字が思い浮かばない。普段から字を書いていないのがバレバレである。仕方がないからひらがなで書く始末。

試験終了の合図と共に回収されていく私の回答用紙。

あゝさようなら。

 

通 知

『貴殿は合格したので、2次試験に進むように』との書類が届いた。ひらがな論文で受かっていたのが予想外。

二人はというと、Aは一次を通過。Bは残念ながら落ちてしまった。

二次試験の内容は、体力テストと面接。

こうなったら試験の対策を施さなければと、映画『ロッキー』のように特訓を開始。

ランニングコースが設定されている公園や、近くの土手沿いをひたすら走る。家族が家事をやっているのを尻目に、腕立て伏せや腹筋をやる。

付け焼き刃感は否めなかったが、試験を受けるモチベーションを上げる事が出来た。

 

2次試験

指定された建物へ向かう。

建物に近づくに連れて、スーツのシルエットが整っている屈強な男たちが目につくようになった。「あゝ、ついに二次試験がはじまるな」改めて実感が湧いてきた。

1日の流れは、体力テストをした後に面接という説明を受ける。

早速持参した動きやすい服装に着替えて、軍隊のように整列駆け足でレクレーションホールのような会場へと進む。

均等な間隔で全員広がり試験開始。

教官から指定された動作をするように指示を受ける。

正常に身体が動かせるか確認するためだろうか、“目をつぶりながら腕を水平に上げて片足立ち”“腕を前に伸ばして手をグーパーしたり”等を黙ってこなす。

次はお待ちかねの反復横跳び、腕立て伏せ、二人一組で腹筋と立て続けに行い、息が荒くなってきた。

追い打ちをかけるように、最後に行われたバーピーテストがしんどすぎた。身体の心肺機能が限界突破!?立ち眩みしたような感覚に陥り、心の中で叫んでいた。

「早く終わらせてくれー」

やっとの思いで試験が終了した時には、会場内が「はぁーはぁー」と息を整えようとする呼吸音で包まれていた。

「こんな状態で面接受けるの?」と内心思っていたが、すぐにスーツへ着替えて面接室へと向かう。

前の人の受け答えが外まで聞こえてくる中、廊下に用意された椅子に座って待つ。緊張しないという方がおかしく感じる中、自分の番が回ってきた。

ノックをして入室。

内容は覚えていないが7割しどろもどろな受け答えだった。

1日を終えた頃には、解放感で満たされていた。

 

 

就 職

中小企業のビルメンテナンス会社へ入社した。

警察官の採用試験は駄目だったのだ。一次を通過したAも落ちてしまったが、次の試験に挑むと意気込んでいた。

私は周囲に流されるまま、警察官への道をなんとなく目指したので後悔はなかった。

“何故数ある職業の中で警察官なのか”“何故なりたいのか”という熱意を持っていなかったのが要因であろう。

「フリーターでいいや」と思う一方で、「このままでは良くない」という漠然な思いがあり、そんな現状から逃れる手段が公務員試験だった。

警察官への道を断念した私は、早く就職しようと気持ちを入れ替えた次第である。

後々聞いた話によると、AとBは警察官試験に合格したとのこと。あれから10年以上たっているので、二人とも現役で勤めているのかわからない。

もう1度人生をやり直せる選択肢があったとしても、警察官への道は目指さないだろう。

148著

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