同級生に影響を受けた話し

受験と友情、4人の同級生のたどった道

高校受験合格発表の日。

僕を含めた中学時代の仲間4人は同じ高校を志望校としていた。

そのため、合格発表はみんなで集まって一緒に結果を見よう、ということになっていた。

多くの方がご存知の通り、受験間近には受験のリハーサルとして模擬試験を何度も何度も受けることになる。

僕ら4人のメンバーの模擬試験の結果は、いつも志望校の合格ラインは超えることができていた。

だから4人で同じ高校に進学できることは誰1人として疑わなかったし、この関係は高校に入学してからも続く、そう思っていた。

そんな中、合格発表の日を迎えて、恐らく一番に不安を抱えていたのは4人の中でいつも点数が最も低かった自分。

受験の手応えはあったし、受験直後の自己採点でも自分の回答ミスがなければなんとか合格はできるのではないか、そうは思っていたけれど当日を迎えると一気に不安が押し寄せる。

(、、、あ、あった!!)

僕は自分の番号を見つけた。

「受かってるーーーー!!」

嬉しくて思わず自分でも驚くくらいの大声を出したことを今でも覚えている。

僕以外の2人も同じようなリアクションを取る中、

「うわー、お、俺だめだったわ、、、

ちょっと親に連絡しないといけないから帰るわ、、」

全員がなんと声を掛けていいかも分からず、その友達の後ろ姿を目で追うことしかできなかった。

その友人の名前はさとし。

僕らの中で一番頭が良くて、合格には学力の底上げが必要だった僕に勉強を教えてくれた友達だった。

四人組

たまたま、クラス替えで一緒になった4人だった。

今記憶を掘り返してみても、仲良くなったきっかけは思い出せない。

だけれど、いつからか行動を共にする様になっていった。

中学2年で同じクラスになり、学校内でも学校外でも多くの時間を共有していた。

中学2年の後半になると、嫌でも高校受験というものは頭によぎり始める。

僕は、部活動の関係で少し志望校には迷ったけれど、結果として4人全員が同じ高校を志望校として選んだことはすごく嬉しかった。

ただ、志望校合格のためには学力の底上げが必要なことは模擬試験の結果が何よりも物語っていた。

正直、昔から勉強は嫌いで苦手で、いい思い出はまるでない。

テスト期間だって、部活動が休みになることを利用して、いつも4人で遊びまわっていた。

部活動もなかなかに忙しくしていたので、勉強なんて全くすることなく受験期に突入した感じ。

4人全員が同じ志望校に決めたはいいものの、勉強してこなかったツケが一気に回ってきていた。

そんな時、自分に勉強を教えてくれたのがさとしだった。

2人目の担任

歴史などの暗記系科目は別として、数学や理科や英語は中学1年で習う内容を基礎として、発展させていく。

僕はそもそもの基礎ができていなかったので模擬試験の問題なんて見ても、同じ日本語で書かれていることは分かるけど意味がわかりません、みたいな感じ。

そんな自分は基礎の基礎からさとしに勉強を教わっていた。

授業も分からないなりにしっかり受けて、休み時間や放課後はさとしに中学1、2年で習う内容を教えてもらった。

中学3年の受験シーズンにもなっていたし、自分の点数も低かったので必死だった。

中学3年の夏くらいになると徐々に模擬試験の頻度も高くなり始める。

まだまだ志望校への合格ラインといわれている点数には及ばないけれど、自己ベストの点数を大幅に超えた点数を出せた時はさとしと大喜びした。

もちろん不安はあったけれど、それよりも自分の点数の伸びがいいモチベーションとなって、受験勉強にも身が入るようになっていった。

この時期の自分にとってさとしは仲のいいグループの1人でもあり、もう1人の担任の先生といった存在だった。

 

高校生活のために空けた距離

中学3年の秋頃になってくると、いよいよ受験に向けた大詰め、といった感じで教室全体の雰囲気も変わり始める。

僕ら4人も相変わらず、クラスでは話はするものの当然学校外で遊ぶことは無くなった。

でも全員どこかで、今頑張ることでまた高校で集まれる、こんな思いで過ごしているのは感じていた。

受験を数ヶ月後に控えた模試では初めて、僕が志望校の合格ラインの点数を取れたことがあった。

僕以外の3人はいつも合格ライン付近の点数は取れていたので、4人全員がその点数を取れたことは初だった。

その結果を4人で見て、まだ合格した訳でもないのにみんなで喜んだことを覚えている。

そして、緊張しながら迎えた受験。

運よく、自分が得意としている分野ばかりの問題が出て手応えありの状態で無事終えることができた。

自己採点をしてみた結果も恐らく合格はできるのではないか、という点数を取ることができた。

そして、受験の合格発表の日、冒頭のような結果になるなんて夢にも思わなかった。

その後

結果として、さとし以外の3人は志望校への合格となり、さとしはすべり止めで受けていた高校への進学となった。

さとしの進学先は隣の市の高校なので、なんとなく精神的な距離と共に物理的な距離も空いてしまった。

もちろん、大人となった今は当時のことなんて話のネタになるし、相変わらず4人で集まるような仲だ。

けれど、当時の自分にとってはあまりにもショックだったし、関係性が終わってしまう様な気がしてならなかった。

ケンカや仲違いをした訳でもなく、受験という一つの結果があれだけ仲の良かった友人との間に距離を作ってしまう。

自分が勉強を教わっていた分、どこか喜びきれない、そんな合格発表だった。

o462lapjrg著

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