同級生に支えられた話し

運命の絆?幼馴染と私の大学受験への軌跡!

運命の絆?幼馴染と私の大学受験への軌跡!

世の中には様々な人がおりますが、その中でも「頭の良いひと」と「頭の悪い人」が居るという分け方をされると、いささか不快に感じるのは私だけでしょうか?

そんな話を切り出した私は、お察しの通り「頭の悪い方」です。しかし、そんな私でも人生において受験という試練を経験しており、苦い思い出にもなっております。

今回は、そんな私が経験した大学受験への軌跡とその時に一緒に居てくれたある女性のお話をご紹介したいと思います。

頭の良い彼女と頭の悪い私

運命の絆?幼馴染と私の大学受験への軌跡!

当時、高校3年生だった私には幼馴染がおりました。

名前はAさんと言って同じクラスメイトであり、ボブヘアーの明るい子でクラスにおいて成績は常に上位でした。

一方、私はあまり成績が良くなく、地味な感じの上に成績が悪くても勉強をしない、落ちこぼれた人でした。

Aさんには、成績が悪いことをよくからかわれたり、注意を受けたりしていましたが、私はそんなに気にしておらず、むしろAさんを俺とは違うといった特別扱いをしておりました。

(俺とAどうせ違う)

そんな事を常々思っており、もしお互いの成績を比較された日には私が惨めな思いをすることは確実でしょう。

しかし、高校3年生になるとさすがの私も勉強をせざるを得なかったので、不得意ながらも受験勉強にしがみついておりました。

そんな時、ある事件が起きたのです。

幼馴染に起きた悲劇

運命の絆?幼馴染と私の大学受験への軌跡!

ある日、私が高校に登校すると異変に気付きました。

(あれ、Aの奴居ないなぁ…)

いつも私より早く登校しているAさんが居ないのです。すると、朝の朝礼でこんなお知らせがあったのです。

「昨日Aさんが交通事故に遭いました。幸い命に別状はありませんでしたが、2ヵ月ほど入院することになります。皆さんも登下校中はくれぐれも気を付けてください」

その時、私の頭の中の「勉強」や「受験」という言葉は一気に消え去りました。その日は全く授業の内容も頭に入らず、ずっと焦りと不安な気持ちで一杯なままでした。そして、学校が終了後、私はすぐに病院に向かったのです。

しかし、まだ昨日に起きた事故でしたので面会は謝絶。私は、Aさんに会うことは叶いませんでした。その時、病院の入り口で偶然Aさんの両親に会うことが出来ました。

「あら、××さんじゃない!」

その時に目が合ったのは、Aさんの母親でした。

「どうも…」

私は、動揺を何とか抑えて返事をしました。そして、このように聞いたのです、

「Aは、…Aさんは無事ですか?」

するとAさんの母親はにっこり笑って、

「ありがとう、何とか大丈夫みたいよ。でも、何箇所か骨折したりしてるみたいだから暫くは学校には行けないわね」

私は、人生で味わったことの無い絶望を感じておりました。

まだ、彼女が生きていることでさえ奇跡だというのにも関わらずです。

すると、Aさんの母親はこんな事を言ってくれました。

「もし、面会できるようになったらすぐ連絡入れるわね!」

「よろしくお願いします」

私はそう言って、大きい不安を抱えながら病院を後にしました。

私と幼馴染の決定的な差

運命の絆?幼馴染と私の大学受験への軌跡!

事故以来、私は日にちが経ってようやくAさんの母親から面会できるという連絡をもらうことができました。

私が早速病室に行ってみると、ニコニコしながらベッドで何かをしているAさんの姿がありました。

「…だいじょう…ぶ…か?」

私は彼女の笑顔を確認できたと言っても、やはり体の包帯や治療の跡の方に目がいってしまい、動揺しながら声を掛けました。

「おっ!××じゃない!いやぁー大変なことになっちゃったよね」

現状に反して彼女があまりにあっけらかんとしているので、私は不安と安堵が入り混じったような複雑な気持ちでおりました。そして、Aさんから意外な事を言われたのです。

「勉強は進んでる?」

私は、「そんな場合じゃないだろう!」と言いかけましたが、何とか抑えて、

「いや、全然…」

と情けない表情で返事をしたのでした。すると、彼女は少し怒った声で

「ダメじゃない!もうすぐ受験だよ!」

と言ってきたのです。そして、よく見ると彼女の手元には勉強道具や教材がありました。

何と彼女は勉強していたのです。やはり書いたりすることはまだ出来なさそうですが、本を何とかめくることは出来たようです。

「おい、こんな状態で勉強してるのかよ!」

私はおかしいと言わんばかりの顔でそう伝えましたが、彼女は、

「だってもうすぐ受験だもん」

とさらりと返したのでした。

「受験」…

この言葉を聞いたのは何故か久しぶりのような気がしました。

そして私は、この時に何か置いて行かれそうなそんな不安が込み上げてきたのです。

(Aはこんな状況で勉強しているっていうのに、俺は…)

私は、改めて自分の状況を認識すると事故の時とはまた別の絶望感に襲われました。

(勉強…どうしよう…)

しかし、私は勉強に自信がありません。

そんな私は、情けない提案を彼女にしてしまったのです。

「俺も勉強するから、今度勉強教えてくれよ」

すると、彼女はにっこりして

「いいよ」

と返してくれました。

そして今思えばあり得ない行動だと思いますが、私は彼女のお見舞いをすると同時に、勉強で分からなかった箇所を聞くことによって受験勉強をやり始めたのでした。大変な事故に遭った直後の病人の女の子に、しかもわざわざ病室にまで行って勉強を教えてもらう。はっきり言いますと、社会に軽蔑されて当然の行動であり、私の黒歴史であります。

しかし…

もしその時の自分の気持ちを考えると、やはり彼女の傍に居たかったんだと思います。勿論、自分の事しか考えてない稚拙な行動ですが、彼女のおかげで勉強が励むことができたのも事実でした。そして、この時私は自分自身と幼馴染との決定的な差に気付くことになりました。これから大学に入ろうとしている私は、まだまだ「子ども」だったということです。

反省の日々とこれから道

運命の絆?幼馴染と私の大学受験への軌跡!

暫くしてAさんは退院し、それから私とAさんは二人で勉強をすることが多くなりました。

私はこの時、とにかく「Aさんに置いて行かれたくない」というそんな焦りが混じった気持ちで一杯でした。

これも今思えば、そんな状況にならないと私は勉強をしようと思わなかったのかと日々反省するばかりです。それでも、傍にAさんが居るという安心感があったのか、勉強に励んだ末に、私もAさんも大学受験を突破することが出来たのでした。

ただ、本当に良かったと思うことが1つ別にあります。それは、

「Aさんにここまで甘えてしまったことを反省する」ということをまだ出来ていたことです。

勉強をしなくては大学受験は受からなかったかもしれませんが、それよりも交通事故で傷ついた女の子に頼るという愚行をしてしまうような精神であることの方が、よっぽど私にとって悲惨だったでしょう。その時に、自分の幼稚さに気付けて良かったということです。

その後、Aさんとはお付き合いできることとなり、今では同棲をしております。そんな私は、今でもAさんには頭が上がらないのと同時に感謝の気持ちを持って接しております。

私は受験を通して、勉強以外にも自分自身の精神的な成長もすることできました。

現在、私は高校時代の自分の行動に対してしっかりと反省をし、彼女と自身の成長の為に日々の仕事に邁進しております。

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