エリート家族の話し

エリート一族の中の落ちこぼれ〜私がプレッシャーに打ち勝つまで

エリート家族の中で

エリートとは、「社会の中で優秀とされる人間や集団。社会や集団などで指導的・支配的な役割を受け持つ層。」のことだ。

私はまさにそのような家庭に生まれた。

実家は300年続く旧家、母の実家は会社経営をしている。

当然、そのような家系のメンバーは皆学歴も高い。

曽祖父は明治時代に東京医学校(現東京大学医学部)を卒業した医師、祖父は一橋大学出身で満州鉄道に勤務していた当時としてはエリートだ。

父は大学に行っていないが、私の姉は千葉大学薬学部を現役で合格している。

直系を見ただけでもため息が出るが、傍系もすごい。

父方の従兄弟の一人は、東大の工学部を卒業している。

大学時代はリニアモーターカーの研究をしていたという。

大学卒業後はとある国立大学の工学部で研究をし、最終的には工学部長までやって退官している。

また別の従兄弟は、国立大学の医学部を卒業して眼科医となり、現在は開業している。

それ以外にも、父の従兄弟はやはり研究者で、私立薬科大学の学長を務めた。

その人の息子は、同じ大学で教授をしたのち、やはり学長を務め、数年前に退官した。

それ以外にも国公立大学出身者が多数いる。

落ちこぼれ

そんな一族の中にあっては「落ちこぼれ」と言われても仕方かないメンバーもいる。

私の両親もその一人だろう。

私の父も母も、大学には行っていなかった。

理由は勉強ができないということではなく、二人とも家庭の事情で進学ができなかったのだ。

父は早くに両親を亡くしており、母も大学進学を考えるころに父親が病気で倒れてしまっていた。

そのため二人とも進学を諦めていたのだ。

決して学力が低かったわけではないと思う。

現に父も母も、私が子供の頃はよく勉強を教えてくれた。

田舎のなかでも比較的教育熱心な親だったと思う。

できなければいけない基本的なことができないと、外に遊びに行かせてもらえなかったということはあった。

一度だけ父から「俺は学歴がないから・・・。」という言葉を聞いたことを覚えている。

たった一度のことだが、とても印象的だった。

やはり父も、エリート一族の中で「落ちこぼれ」てしまったことがコンプレックスだったのだろう。

そんな親の期待に応えるように、5つ上の姉はとても優秀だった。

塾に行くこともなく、家でもそれほど勉強をしている様子もない。

しかし、中学でも高校でもトップの成績だった。

それに比べると、私はごくごく平凡だった。

学校では決して「落ちこぼれ」ではなく、突出はしていないが、まずまずの成績だったが、姉のそれと比べると、全くの「落ちこぼれ」だっただろうと思う。

私は、学校では「優等生」、家では「劣等生」という立ち位置だった。

劣等生から優等生へ

私は中学の頃から、自分の現状に満足していた。

小さい頃から優秀な姉の影になっていて、自分は姉のようにはなれないと思い込んでいた。

どこかで「劣等感」を感じていた。

だからと言って、あまり努力もせず、成績は徐々に落ちていった。

そんな私も、高校生になると少しだけ焦り始めた。

1学年400名ほどの高校で成績は50番以内には入っていたが、同じ高校に通っていた姉は常にトップだった。

「一度だけちゃんと勉強してみよう。」

そう思った私は、それまで宿題をこなす以外は家で勉強していなかったものを、しっかりと予習復習をし、テスト前もしっかりと勉強をした。

すると次の定期テストでは飛躍的に成績が伸びた。

学期末に80点平均以上を取ると、全校生徒の前で名前を発表されるのだが、1年の3学期には私もそのなかの一人になれたのだ。

一度上に上がると、もう2度と落ちることができない。

そんな思いが自分の中に生まれ、それ以降は一生懸命勉強をするようになった。

最終的に、学校では上位5番以内に入るようになった。

学校での私は名実ともに「優等生」になった。

今まで私の成績に期待しないようにしていたであろう両親が、少しほっとしていたのをなんとなくだが感じることができた。

進路

そんな私も進路を決めなければならない時期が来た。

成績は伸びていたが、科目の得意不得意が極端だった私は、5教科で受験しなければならない国立大学の受験は初めから諦めた。

しかし、親戚一同は皆国公立を卒業している。

両親はとりあえず受験するだけでいいから国立を受験するようにと言っていた。

しかし、苦手な科目に時間を取られるよりも、私立受験に必要な得意科目により時間を割いて成績が伸ばしたかった私は、両親を説得した。

「5教科やってたら、国立も私立も間に合わない。」

両親は渋々だが私の主張を受け入れてくれた。

それからは私立受験一本で必死に勉強した。

両親が期待するような有名大学には入れないけれど、最低限恥ずかしくない大学には行きたかった。

結局私は私立の薬科大学に合格した。

姉のように国立大学ではなかったが、薬剤師という資格を得て、今も仕事に困ることはない。

薬剤師という資格だけ見れば私も立派なエリートだ。

しかし、未だ私は外では「優等生」、でも子供の頃からの「劣等感」は拭いきれていない。

hiixleik著

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