これは私が中学三年生の時のこと。
受験を控えた私と先生との間で起こった確執と、それを乗り越えて受験に挑んだお話です。
悪魔のような国語教師

中学生活もいよいよ最終学年。
受験を控えた私は、一つの不運に見舞われることになりました。
それは二年間慣れ親しんだ国語の担当教師の、突然の体調不良による長期休養がきっかけでした。
ただでさえ受験前でピリピリしている私たちにとって、それは不安でしかありません。
そこにやってきたのが、臨時で来た女性教師。
教師とは思えないようなド派手な身なりのとても気の強そうな女性教師が、代わりの国語担当に選ばれたのです。
先生のブラックリスト入り

三年生になって最初の中間テスト。一つ一つのテストが受験に大きく響く気の抜けないもの。
私とその教師の間の確執はこの中間テストから始まりました。
答案用紙が返され、皆自分の席で答え合わせをしている時のことです。
自分の答案用紙の間違った箇所を確認していると、「この時の筆者の気持ちを答えなさい。」というような問題にバツ印がついていました。
どう間違ったんだろう?と正解の用紙を見比べてみると、少し文が違うだけで内容は全く同じ答えを書いていました。
先生が間違ったんだ!と思った私は前に立っている先生の所へ行き、採点が間違っていることを指摘しました。
しかし、その時返ってきた言葉は予想外なものでした。
「いや、この答えじゃないとだめだから。」
思わず「え!?」と言葉が出てしまい戸惑っていると、ニンマリ笑った先生が、
「この答え以外に正解はありません。文句でもあるんですか?」
と言い放ってきたのです。
私はその挑発的な先生の発言に無性に腹が立ってしまいました。
「どう違うのか、わかりやすく説明してくれませんか!」
私は少しきつめの口調で先生に質問しました。
すると舌打ちした先生が、
「あなた授業態度が悪いね。成績下げるから。反省しなさい。」
と嫌味ったらしく言ってきたのです。
これ以降、私に対する先生の風当たりはものすごくキツイものになってしまいました。
いくら授業を真面目に受けても「授業態度が悪い」と評価され、テストもわざと採点をミスし、終いには私が不正をしたと言い張ってきたのです。
当然これが原因で内申点も大きく下がり、受験前にもかかわらず、通知書はずっと最高の5を取り続けていたものが、初めて2と表記されていました。
親友の力を借りて
(このままじゃ志望校合格できない……!)
焦った私は誰かに相談しようと思いました。
しかし、いきなり担任にこのことを言っても信じてもらえるかわかりません。
なのでとりあえず、身近な親友に相談することにしました。

「○○先生からね、こんな扱い受けてるんだ……。」
今まで受けたテスト用紙や提出したノートのひどい採点を見せると、親友は自分がされたかのようにものすごく怒ってくれました。
一通り目を通した親友から、こんな提案を受けました。
「一回ノート交換して提出してみよっか!」
親友が言うには、同じ授業を受けているのでノートの内容は変わらないはず。
そのノートを交換して提出し、それを証拠に別の先生に相談すれば調べてもらえるんじゃないかということでした。
親友を巻き込んでしまうのは悪いと思ったものの、気にするな!と言われいう通りにする私。
ノート提出の日にお互いの名前を書き替え、次の授業で返ってくるのを待ったのです。
私だけじゃなかった!

ノート返却の日。
案の定、私の名前が書かれた親友のノートには「もっと頑張りましょう」のスタンプが。
そして親友の名前が書かれた私のノートには「大変よくできました」のスタンプが押されていました。
「これを証拠に持っていこう!」
私と親友は放課後、職員室へ向かいクラス担任を訪ねました。
クラス担任は一年生の頃からお世話になっていて、私たちのこともよく知っている先生。
クラス担任に二人のノートを見せると、意外な返事が返ってきました。
「実は他の生徒からも同じような相談が来ててね。」
あの国語教師からひどい扱いを受けていたのは私だけではなかったようです。
数人の生徒から同様の相談を受けていたものの、決定的な証拠がないため動けなかったと言われました。
私たちのノートは証拠としてクラス担任に預け、職員会議にかけられることに……。
結局、なぜ私や他の生徒にひどい対応を取ったかを説明することもなく、悪魔のような国語教師は学校に来なくなってしまいました。
今までの分を取り返す!

担任からは、一度決定してしまった成績を変えることは難しいと言われてしまいました。
それでもあの国語教師を見返してやりたくて、私は受験の日まで猛勉強!
授業も遅刻せずすべて出席し、“授業態度が悪い”なんて絶対に言わせないくらい完璧にこなしました。
その甲斐あってかギリギリではあったものの、無事志望校に合格することができました。
受験前に本当に焦るような出来事に巻き込まれてしまった私。
それでも志望校に合格できたのは、私を信じ協力してくれた親友と担任のおかげです。
aoyama著
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