教師との話し

流されやすい性格の私。教育実習生が教えてくれた自分の意志の大切さ。

流されやすい性格

私は昔からとても真面目な子供でした。

勉強の成績も特に悪くもなかったし、遅刻したこともないし、欠席したのは一度インフルエンザに罹った時くらい。

いつも先生の言うこともよく聞いていて反抗することもない、いわゆる“いい子”でした。

真面目でしたが周りに流されやすい性格で、身近にいる大人に憧れることが多かったです。

なので、お母さんとパン屋さんに言った時はパン屋さんになりたかったし、幼稚園児の時は幼稚園の先生になりたいと言っていました。

自分で率先して何かやりたいとか、明確な意思があるといった感じではなくて、誰かに何かを言われるがまま行動しているような、そんな子供時代を送っていました。

教育実習生

小学6年生の頃に、私のクラスに教育実習生がやってきました。

「立派な先生になれるように一生懸命頑張ります!皆さんよろしくお願いします!」

彼は宮田先生。大学生で見た目もとても若くて、元気で優しい雰囲気。

宮田先生はすぐにクラスにも馴染んで、生徒たちの人気者になりました。

まだ慣れていなくて少しぎこちないけど、勉強で分からないことがあれば分かるまで丁寧に教えてくれるし、休み時間には生徒たちをたくさん集めて一緒に遊んでくれる、みんなのお兄ちゃんみたいな存在でした。

私も優しい宮田先生が大好きで、将来は宮田先生みたいに学校の先生になりたいなぁと思うようになりました。

それを聞いた宮田先生は、「自分を見て将来を考えてくれて嬉しい!」と、とても喜んでくれました。

流されやすい性格の私は、先生が褒めてくれるから、喜んでくれるからという理由で勉強を頑張ります。

真面目にやっていれば周りも褒めてくれるし、成績だって上がる。周りの言う通りにしておけば波風も立てないし、悪いことは何もない。

その時の私はそういう考えをしていました。

いじめ

小学校卒業後、私は地元の公立中学校に入学しました。

その中学校は全校生徒1000人を超えるマンモス校として知られており、問題のある生徒も多く在籍していたことから、荒れた中学校としても地元で有名でした。

自己主張の強い生徒たちの多い中、私のような“流されやすい性格”の生徒はすぐにいじめのターゲットになりました。

私は先生たちにそのことを言いましたが、まるで相手にしてくれません。

(クラスメイトも先生も大嫌い……。誰も信用できない。)

陰湿ないじめが続いていくうちに、私の中の「学校の先生になりたい」という夢は徐々に消えつつありました。

再会

数か月したある日、社会科の授業に教育実習生がやってきました。

それはなんと、小学生の時にお世話になったあの宮田先生でした。

相変わらず元気で優しそうで、ちょっとだけ頼もしさの増した雰囲気が出ていました。

宮田先生の教えてくれる社会科の授業はとても分かりやすくて、久々に授業が楽しいなと思えました。

しかし、そんな授業の最後に水を差したのは社会科の担当の先生でした。

「今はこんなに元気だけどな、10年も20年も教師をやってたらやる気もなくなってくるぞ。いいよな、何も知らずに能天気でいられて。」

いつも自分のことを「でもしか教師」といってやる気のない社会科の先生。

運悪く宮田先生の担当になったその社会科の先生は、宮田先生のやる気を削ぐような発言を授業の最後に吐き捨てていったのです。

宮田先生はその場で押し黙って、少し涙ぐんでいるように見えました。

その日すべての授業が終わった後、私は宮田先生のところへ行きました。

服で目をこすった後、いつもの元気な表情を私に向けてくれる宮田先生。

大丈夫とは口で言っていても、真っ赤に充血した目はさっきまで涙を流していたことを物語っていました。

私は勇気を出して、先生になることについていろいろ質問してみました。

「なんで先生になろうと思ったんですか?」

「僕には憧れの先生がいてね。その人みたいに立派な先生になりたいんだよ。」

「先生になるのって辛くないですか?」

「辛いことももちろんあるけど、みんなのことが好きだし教えるのも好き。何よりも自分で選んだ道だから後悔なんてないよ!」

憧れの先生

私はあの日宮田先生の話を聞いてから、何か自分の中で変わった気がしました。

いつも周りに流されるだけだった自分。

自分の意思をはっきりさせないから、物事が悪い方向に向かっても何もできない。

ちゃんと自分の意志を持って行動すれば、辛いことがあってもきっと後悔はしないと学びました。

高校生になった私は現在、学校の先生になるために大学受験に向けて日々勉強しています。

先生になりたいという夢は誰かに流されたのではなく、間違いなく今の私の意志です。

宮田先生に憧れの先生がいたように、私にも憧れの先生ができました。

いつか私も宮田先生のように立派な先生になれるよう、努力していきたいと思います。

komojjojoe著

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