大学一般入試での話し

本当に大切なものは?大学受験で手にした見えない宝物

本当に大切なものは?大学受験で手にした見えない宝物

「受験」という言葉を聞くと、どのようなイメージが頭の中に思い浮かぶでしょうか?

長い期間、勉強に向き合わなくてはいけないことは、やはり大変なものです。それで受かればまだいいですが、落ちた時のショックは想像を絶するでしょう。

これからご紹介するのは、高校時代に私の同級生だった友人Sの物語でございます。

私の友人Sさんの受験

本当に大切なものは?大学受験で手にした見えない宝物

高校3年生、私と私の友人Sさんは受験勉強の真っ最中でした。勉強といっても、私とSさんがしている勉強の内容と量はかなり違いがあります。

私は、指定校推薦という方法を使って大学に入学しようとしていたので、当日テストとしてある面接と小論文について勉強しておりました。

一方、Sさんは言葉通り受験ということで、国語、英語、理科、社会、数学など様々な勉強をしなくてはいかず、日々の勉強量に疲弊しておりました。

「お前はいいよな、その勉強だけで」

「小論文だって当日書けるかどうか不安だよ。でも、確かに勉強量が違うよな…」

友人のSさんは部活動も日々こなしていたので、勉強との両立に苦しんでいるようでした。受験は来年ですが、おめでたいはずのお正月の時期に入ったら、もうラストスパートです。

「でもSは偏差値高いし、大丈夫じゃない?」

私が無責任に言うと彼は、

「まぁ、第一希望に落ちても滑り止めがあるかもしれないけど、おれ、第一希望の所に行きたいんだよね」

彼は少し難しそうな顔をして言いました。

確かに、「一発合格」と聞くとハードルは高いかもしれません。その時私は、心底受験の方じゃなくて良かったと感じておりました。

Sさんの別れ道

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そして、いよいよ受験当日。私とSさんはそれぞれ大学入試がある現場へと重い足を運びました。

私の場合、最初は小論文のテストで難しい課題が出されたことで苦戦を強いられましたが、何とか文としてまとめることができ、提出することができました。次の面接では、担当の面接の方がとても優しく、緊張しながらも予定通りに答えることができて、ありがたいことに合格を頂くことができました。

一方、Sさんはというと、Sさんの第一希望の受験で不合格となってしまったのです。

私は、何て言葉を掛けたらいいか分からず、こんな事しか言えませんでした。

「でも、滑り止めには合格したじゃん」

彼は、うつ向いたままです。しかし、暫くした後にSさんはとんでもないことを言い出したのです。

「おれ、滑り止め蹴るわ」

「えっ!?」

私は、予想外な言葉に一瞬戸惑ってしまいました。

「いやいや、自棄になるなよ。ここで蹴ったら、また来年まで勉強だぜ?」

私が少し焦りながら言うと、Sさんは

「いや、それでいい」

と今度は前を向いて、真剣な面持ちで答えたのでした。

そして、ここからSさんの1年間かけた長い勉強生活が始まるのです。

大切な事?

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それから1年間、Sさんは前よりも真剣な面持ちで勉強に向き合い続けました。

私は、あまり彼の邪魔をしないようにこちらから連絡を取るようなことはしませんでしたが、彼の方から連絡が来ることもありましたので、時々現在の事情を聞くことができました。

「勉強進んでる?」

もう少し気の利いたセリフを言えたらよかったのですが、私としては聞かずにはいられませんでした。

「まぁな。同じ勉強を最初からやるわけではないから、少し楽だよ。大学で出た問題を思い出しながら勉強してる」

私でしたらまた一年間勉強漬けなんて到底無理でしたから、彼には尊敬の念すら抱いておりました。

「でもさ、おれもう一度勉強してよかったと思ってるんだ」

彼がそんな事を言い出したので、何故かと聞いてみると、彼はにっこり笑って、

「まぁ、そのうち分るよ。勉強よりも…」

最後は聞き取れませんでしたが、勉強より何か別の目的があるようでした。

そして、さらに時が経ち、Sさんは2回目の大学受験となりました。

私がSさんから学んだ大切な事

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結果を先に言うと、Sさんはその大学受験に合格することができました。

私はその連絡を受け、真っ先にSさんに会いに行きました。まるで、自分が合格したかのよう気持ちでした。

「よかったじゃん!!お前すげぇよ!」

何故か本人よりもテンションの上がっている私でしたが、彼は何となく落ち着いた顔をしておりました。私は疑問に思って、

「何だよ、嬉しくないのか?」

と聞いてみますと、彼からはこんな言葉が返ってきたのです。

「勿論、うれしいさ。でもな、もっと嬉しいことがあるんだ」

私は、意外な言葉にその内容を聞いてみました。すると、

「俺には、1年間勉強し続けられるような忍耐力が付いたってことさ。だから俺は、他の受験生や同年齢の奴よりも自分に自信があるぜ」

私は、感動していたのかもしれませんが、暫く言葉を返せませんでした。

いえ、違います。私は、それを聞いて恐らく内心焦ったのでしょう。

自分は、Sさんから距離を離されてしまったと。

そんなSさんの言葉を聞いて、私は大学1年間を振り返りました。そして、大学2年生に上がった時には、前より日々に授業を詰め込んで、部活も一層力を入れたのと覚えております。

忍耐力。

私にはあまり無いものですが、それでも「忍耐力」を少しずつ付けていこうと今でも考えて生きております。

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